優子は自分の線香花火を
ひたすら見続けながら、
しかし、先程よりはっきりと言った。


「いたいから、いるんですよ。
 先生のそばに、ずっといたいです。
 先生のこと、ずっと見ていたい…
 もっと近くで」

「……」


2人はそれ以上言葉を交わすことはなかった。

線香花火の火が小さくなっていくのとは反対に、
優子の胸のうちがざわざわと揺れ動く。

喉の奥から込み上げてくる感覚。
本当は、ずっと前から言いたいことが、
秀頼に伝えたいことがあるはずだった。

素直になれず、
タイミングも分からず、
でもたしかに、
今にも溢れ出てしまいそうな想いがある。


「先生、わたし…!」


優子が思い切って顔を上げると、
その振動で膨れ上がっていた火の玉が
ぽたっと落ちた、その瞬間…


「‼」


秀頼のそばにあった顔が、
更にぐんと目の前に近づいた。