戻ってきた秀頼に、優子は改めてうっとりしていた。

深緑の浴衣に黒い帯。
たった二色のシンプルな装いだというのに、
こんなにも様になることがあるだろうか。


本当に、かっこいいなぁ…


秀頼が戻ってきて、

「まだ開けてなかったのか?」

と言われて初めて、
優子は秀頼の後ろ姿に
夢中になっていたことに気づいた。


「あ、今開けますね」


優子は慌てて袋を開き、
ろうそくにチャッカマンで火をつけた。

優子の隣にしゃがんで、
花火の小袋を開けてくれる秀頼。

その端正な顔立ちが、
ろうそくの明かりに照らされると、

一段と艶めいて見えた。


「なんだ?」


優子の視線はもう慣れっこなのだろう。
秀頼は優子を見ることなくそう言った。


「いや、その…」


花火をしようと提案したのは自分だというのに、
緊張して言葉も出ないとは…。