階段を上がったところで、
ようやく触れた地上の空気に、
優子と南は力が抜ける程だった。

南は大きく深呼吸をして言った。


「すごく久しぶりに外の空気
 吸った気がする」

「うん…」


秀頼と潤は、何やら他愛もない会話を
しながら夜道を進みだした。

恐らくどちらかの車を停めた先に
向かっているのだろう。

優子は黙って秀頼の背中を見つめながら、
南と一緒に2人のあとを追いかけた。

朝が近づこうとしている時間。
街道にはぽつぽつと若者や
サラリーマンが歩いている程度だった。