いつもは綺麗に整えられた髪が
珍しく乱れていた。

陰になっていてもよくわかる。

安堵したような、
でも怒りとも感じ取れる、


「先生のそんな顔、
 初めて見た…」


ポーッとした顔でそう言う優子に、
秀頼はドッと気が抜けたようだった。


「間一髪間に合ったかと思ったが、
 頭でもぶったか?」

「先生、どうしてここに?」

「わけはあとだ、帰るぞ」


秀頼に支えられて体勢を立て直すと、
秀頼と同じ背丈の好青年が、
南に手を差し伸べているところだった。


「大丈夫?」


そう聞いたおしゃれな髪の彼に
肩を支えられて、
南はゆっくりと階段を降りてきた。

突然の2人の人物に、
更に周囲はざわめきを増した。