優子はできるだけ男たちと
目を合わせないようにして、
南が伸ばしたその手を取った。


「ゆっちゃん…」

「うん…うん、大丈夫だから」


南のすっかり憔悴した顔に、
優子は言葉が見つからなかった。

本当はこんな酷いことをした
ここにいる全員に怒鳴りたいぐらいには、
優子もこの行動に頭にきていた。

だが、ここに来ることを決めたのは
南自身であり、優子もその案に乗った。

のこのこついてきたことは、
2人とも反省するべきところだ。


今はとりあえず、すぐにここを離れよう…


南の手を引いて優子が階段に向かうと、


「いやいやいや!」

「‼」


男の1人が半笑いで声を上げると、
他の5人もそれに続いた。


「なに俺らを無視しして
 普通に帰ろうとしてるんですかー?」

「さすがに失礼すぎるでしょ」

「俺らが先輩ってこと、
 忘れちゃってるんじゃないの?」


背筋が凍る。


足を止めたら終わる…!


近づいてきた南の震えが伝わってくる。


逃げなきゃ…


止まろうとしない優子の肩を、
大きな腕が痛いほど強く掴んだ。


「無視すんなって言ってんだろ!」

「きゃっ!」