少し猫背なガタイのいい背中を
追いかけて、暗い階段を進んだ。

オレンジ色に光る木製のドアを
抜けていくと、
店員らしき人物が一人、
スタンプを持って待っていた。

足立の真似をして、
右手を店員の前に差し出すと、
黒い”welcome”の文字判が押された。


「ごゆっくりどうぞ~」


そう言われて足立の後に続くと、
今度は奥の黒いドアが開き、

とんでもない大音量の洋楽が
流れ出てきた。


「すご…」


思わず声が出ると、


「はぐれないようにね」


と、足立の右手が優子の腰に伸びてきた。

不意に来る至近距離と、
慣れない重低音の響きに、
優子の脳内はフリーズ寸前だ。