秀頼が自分自身の思考に
悶々としているとは露知らず。

優子と南は、中沢や足立ら数名の
グループと一緒に、
例のパーティー会場に向かっていた。

時刻は0時20分。

予定より前飲みが長引いたが、
そんなことはここにいる誰も気にしていなかった。

入るだけのお酒が血管を巡り、
夏の湿った空気に夜風が気持ちいい。

傍から見れば、
チャラチャラしたうるさい集団だろう。

だが、今はそんなこと気にもせずだ。

敢えて言うなら、
目の前で南が中沢に腰を抱かれていることと、
自分の肩に足立の腕が乗っていることぐらいは
小さな違和感を感じないこともなかった。


「さ!いよいよ本番ですよー!」


どこかの誰かが路地裏に響き渡る声で言った。

それに応えるように、
「うぇーい!」と若い反応が飛び交う。

ふらふらしながらもそれに乗っかって、
優子と南も酒とたばこの匂いに包まれていった。