その日は南の言っていた通り、
何事もなく無事に解散になった。
足立が高級外車で南と優子を送り届けてくれた。
男子2人はこの後また夜の町に
繰り出すと言っていたが、
優子たちを無理矢理連れて行こうとは
しなかった。
優子と南はそんな2人の
無理強いをしない優しさに
完全に心を許していた。
「ただいまー」
誰もいない一人暮らしの部屋に帰ってきて
優子はすぐにベッドに腰かけた。
久々に初対面の人と話して
自分でも気づかないうちに
疲れていたらしい。
「ふぅー…」
ため息をついて、大きく伸びをした。
ゆっくりと立ち上がり、
明けたままにしていたカーテンを閉めて
電気をつけた。
「あ…」
そこまでして、優子はようやく
秀頼のことを思い出した。
もう一度カーテンを開けて
前のアパートを見上げるが、
秀頼の部屋の明かりはついていなかった。