夜遅くに飲みに行く約束をして、
着替えを済ませた秀頼は帰路についた。
授業を終えた学生たちも
ちょうど帰宅する頃らしい。
看護学部棟から歩いてくる子たちを
なんとなく視線で追ってしまう。
そんな自分に気づき、慌てて首を振った。
まるで誰かを探しているみたいだ。
こんなに疲れているのに、
どうして飲みの約束なんて…
考えないようにしよう。
疲れているんだ。
10個近くも下の子に、どうしてこんな…
煩悩に近いものを振り払って、
秀頼は今朝対応に当たった患者のことを
思い浮かべた。
山口さん、今夜いっぱいもつだろうか…
酸素増やしたし、
サチュレーションましになったし、
明日もう一回レントゲン撮って…
「先生…?」