ダンッと思っていた以上に
大きな音が出て、

目の前の秀頼も、
立ち上がった優子自身も
驚きのあまりフリーズしていた。


しかし数秒後、秀頼は何事もなかった
かのようにファイリングの作業を再開した。

余裕そうに黙々と続けるその作業を、
優子はただ上から見ることしかできない。


まつげ長いな~

って、そうじゃないのに。


心の中が虚しくなっていく気がした。

今まで、秀頼の一番近くには自分がいて、
自分が秀頼の特別なような、
そんな気がしていたから。

まるで飼い主を取られる寸前の
古参の猫の気分だった。


「先生…」

「ん?」


俯いてぽつりと呟く優子に、
秀頼は手を休めることなく答えた。



「私、出会い探します」

「…ん?」


ん?


ほぼ反射で出たセリフに、
優子自身も


「ん?」


だった。