昨日は珍しく、
秀頼の方から優子に家に来るよう
呼ばれたのだった。

理由は、資料整理の手伝い。


「せっかくお呼ばれしたと思って
 ウキウキで来たのに…」


大量の紙に少しずつ穴あけパンチで
穴をあけながら、優子は唇を尖らせていた。


「資料の整理でもいいならって
 事前に説明しただろ」

「そうですけど、本当に整理だけなんだもん」

「だからこうしてお菓子まで
 用意してだな…」

「用意って、これ看護学部のみんなに
 もらったやつでしょうが!」

「よくわかったな」


感心。と言いたげな目を向けられても、
これっぽっちも嬉しくなかった。

むしろみんなが秀頼に渡したものを
食べることは気が引ける。


「あれから先生はみんなのアイドル的
 存在になっちゃってるんですからね」

「べつに俺が望んでなったことじゃない」

「そうじゃなくて~」


優子は資料をテーブルに置いて
前に座る秀頼に身を乗り出した。