言いつつも、
あのたった一回の授業で
秀頼の人気は尋常ではなかった。


「今でも医局に来る人いるの?」

「いや、さすがにもういないみたい」


秀頼との関係のことは、
あの授業の後、南にすべて話した。

すべてと言っても、

自分が喘息持ちで、秀頼が主治医であることや
家が向かいでたまに家にお邪魔していることなど、

優子にとってはそんなスクープでも
ないだろうと思っていた。

しかし、出会いを求める南にとっては
かなりのビッグニュースだったらしい。

何かと秀頼の情報を面白がって
聞いてくるようになったのだった。


「すごいよね、いくらタイプでも
 医局にまで押しかけるなんて」

「驚いてたけど、ただでお菓子とか貰えて
 そんなに困ってそうじゃなかったよ」

「先生って天然なの?」

「そんなこともないと思うけどなぁ」


ぬるい焼きそばを食べながら、
優子は昨日の夜のことを思い出していた。