先生、ペットなんて、飼ってたっけ?

心臓がまるで迫ってくるように
ドクドクと音を上げた。


本当に、私の知らない先生がいるの?


優子が「いやだ…!」と
心で叫ぶのをお構いなしに、
秀頼は一呼吸おいて続けた。


「私の後をずっと追いかけて来て、
 いつの間にかうちに
 居座るようになったのです。

 私が他の人と話したりしていると、
 隠れてやきもちを妬いているようですが」


そんなところが、可愛らしいんですけどね…。


秀頼がそう答えると、
至るところから
「かわいい~」という声が飛んだ。

優子は大きく目を見開いて、静止した。


それって…?


さっきまで苦しかった動悸が、
今では苦しくなくなっていた。

心臓は変わらずドキドキとうるさいのに。


ゆっくり顔を上げると、
マイク片手に腕を組み、
微かに口角を上げた秀頼と、目が合った。

まるで、


誰のことだろうな…?


と、いたずらに話しかけているように…。