出来立てのコーヒーをすすりながら、
秀頼はふと我に返ったように言った。


「…10個も下に、大丈夫か?
 犯罪、じゃ、ないよな?」

「え…大丈夫ですよ!
 年の差カップル、
 いいじゃないですか~?」


秀頼の向かいに座った優子も
同じように熱いコーヒーをすすった。


「それに、あんなキスしておいて、
 今更だし」

「…高熱で忘れた」

「そんな大したことなかったですからね」

「言うようになったな」


他愛のない会話を繰り返し
冗談交じりの言葉を紡ぎ合う。

大好きな人と
美味しいコーヒーを味わう。

たったそれだけのことだけど
これが「幸せ」というものなのだろう。


先生とずっと一緒に、いられたらな…


目の前にいる主治医と共に働く、
そんな未来を夢見て
優子はまた一口、コーヒーをすすった。