秀頼が優子の髪を撫でると、
優子はまるでペットのように
その手に頬を寄せた。


「猫みたいだな」

「猫になりたいです。
 先生に飼ってほしい」

「それはダメだな」

「え、どうして?」

「猫にあんなうまいコーヒーは
 淹れられないだろ?」

「ふふ、それもそうですね」


優子は立ち上がってキッチンに向かった。

お湯を沸かそうとポットに水を入れると、
見覚えのある水筒が目に入った。

綺麗に洗われて置いてある。


「飲んでくれたんですね」


秀頼がダイニングの椅子に腰かけた。


「あぁ、もちろん。
 早く出来立てが飲みたい」


いつになく素直で甘い言葉に、
優子の胸がまたトクンと音を立てた。


あぁ、幸せだなぁ…