「なんだったら、俺の女だーって
 言ってくれてもよかったのにな~」

「調子に乗るなよ」

「あ、すいませぇん」


秀頼の着たロングTシャツと同じ
白色のクッションにまた顔を埋めた。

秀頼にこうして怒られるのも
今じゃすっかり癖になっている。

いや、久々だから余計に嬉しくて
楽しくて仕方ないのだ。

思い返せば、最後にここに来たのは
かなり前だったのではないか。


感染症が流行りだして、
なかなか先生に会えなくて。

そしたら自分も感染して
先生にお世話になってしまって。

あっという間だったけど、
ここに来るまで長かったな…


なんて考えを巡らせていると
秀頼がポツリとその渋い声で言った。


「…なりたいか?俺の女に」

「ぇ…」


目を見開いて秀頼を見る。


「ん?」


いや、「ん?」と言いたいのは
優子の方だ。


「そ、そりゃあ、なりたい、です」

「歯切れが悪いな」

「いや、いざ真面目に言われると、
 なんだか申し訳なくなりますね」

「俺はいつだって真面目だよ」


長い脚の上に両肘をついて
今度は秀頼が優子の顔を覗き込んだ。


「俺はこれまで通り、
 お前が来たいと思った時に、
 この家にきてほしい。

 俺の隣にいてほしいんだ」


秀頼の言葉とは思えないほどの
ストレートな言い方に、
優子は目を丸くした。

本当に、秀頼本人だろうかと
疑ってしまいそうだ。