家までは車で5分とかからない。
懐かしさと、喜びと
ドキドキと、感情が忙しい。


先生の運転姿、久々に見た…。


あんまり夢中で見るとまた怒られるので
欲を押さえて窓の外を見る。


「あっという間に、着いちゃうな…」


独り言のつもりで呟いたが
秀頼の耳には届いていたらしい。


「…うち、寄ってくか?」

「え、いいんですか⁉」


勢いよく振り返ると、
秀頼が怪し気な視線を優子に向けた。


「お前、わざと言っただろ」

「そんな、違いますよ!
 …ダメならべつに、いいですけど」


ふざけて唇を尖らせてみる。

秀頼は小さくため息をついてから、


「元気になって安心したよ」


と言って、自分の駐車場に車を停めた。


やっぱり、先生は優しい…。


優子はこの感じが
なんだか懐かしくて嬉しかった。