1時間後、手術を終えた優子は、
秀頼や潤たちに連れられて
ICU(集中治療室)に運ばれた。

引継ぎを受けながら、
看護師がモニター類をつけていく。


「宮越先生、鎮静は?」

「デックスで。
 抜けるまでそのままにしとこうか」

「了解です。
 藤原先生、術後指示は?」

秀頼は眠ったままの優子から
目線を外さずに答えた。


「あとで入れておく。
 何かあったら、すぐ連絡して」

「あ、はい…」


看護師が不思議そうな顔をするのも
もっともだと潤は思った。

秀頼は出入りする病棟にいる
看護師の間ではかなり有名な方だ。

いつもと違う様子なのは、
秀頼をよく観察している人間ならば
よくわかるだろう。