優子がテレビをつけると、
週末ロードショーで映画が入っていた。

今週の映画は医療ものだ。
小説が原作でドラマ化したものがヒットして
映画化した人気作品。

天才外科医が、現代医療の限界と
病院内の黒い秘密に立ち向かう…

ふと、優子のスマホが何度か震えた。
南からだ。


『この前会った友達が感染症だったぽくて💦
 大したことないみたいだし、
 たぶん大丈夫だと思うんだけど…』

「あちゃー」


と呟きつつ、
同じ言葉の文字を打つ。

もし感染していたら厄介だが、
南は現状何ともない。

それに、最近出ている優子の咳は
毎年起こる喘息のそれと同じだった。

感染していればもっとひどいことに
なっているはずだ。


『南は大丈夫?
 私、今のところなんともないし、
 大丈夫よー!』


大丈夫。
もし喘息が出ても、
吸入の薬がある。

大丈夫だ。

そう自分に言い聞かせていた。