その日の夜。

一段と強い風が優子のアパートの
窓を揺らしていた。

天気が悪い日々が続いている。

向かいの秀頼の部屋は、
相変わらず明かりがついていない。

窓からの冷気で、
また咳が出る。

この時期は、いつも秀頼が
温かい部屋に招いてくれていた。


一緒にお鍋したの、楽しかったな…


また秀頼に会ったら、
まずはじめに何を言おうか。

どんな言葉をかけるだろうか。

早くその日が来てほしいのに、
どこか恥ずかしい気持ちもある。


「はあぁ~…」


ため息を一つつく。
そしてまた、咳が2回出た。