俺も。

秀頼とのメッセージを何度も
読み返す日々を過ごしているうちに、
外の世界はセーターが恋しい季節になっていた。

あれから秀頼とは会えていない。

だが、秀頼から届くメッセージは
あの渋くて柔らかい声でしっかりと
優子の中で脳内再生されていた。

我ながらなかなか変態だな、
と思うこともあるが、
相変わらずオンライン授業の日々が
続いている優子にとっては
それくらいが唯一の楽しみだった。

今日も南と隣に並んでパソコンを開き
お菓子パーティーをしながら
期末テストの勉強だ。

相変わらずの外出禁止の日々。

おかげで今年は喘息に悩まされずに
済みそうだ。


「毎年冬は咳ひどいのにね、ゆっちゃん」


小動物のような南は、
ポッキーを咥えるだけで絵になる。


「外出てないからね。
 寒冷刺激で咳ひどかったから、
 あったかいところにいれば安心」


と、言いつつ咳が2回出る。


「今のは何刺激?」

「…わかんない」


ポリポリ…とポッキーを食べる手が止まらない。


「藤原先生に聞いてみたら?」

「そんなくだらないことで
 連絡できないって」


優子は笑いながらも
返信のないスマホを見下ろしていた。