部屋について、
かばんも置かずに保冷バッグを開けた。
カロリーと栄養が取れそうなものが
いくつも入っていた。
栄養ゼリー、チョコスティック、梅干し…
「梅干し?」
思わずクスッと笑ってしまった。
さすがのセンスとしか言いようがない。
そして大きな水筒が一つ。
蓋を開けると、ほろ苦い香りが
ふんわりと漂ってきた。
まだ温かい。
マグカップに注いで、ソファに腰かけて
その一口を啜った。
苦味の中に、
酸味を和らげるほのかな甘さ。
ずっと欲しかったものが、
体中に広がっていく。
いつもより、蜂蜜が多い気がする。
それが余計に美味しくて、疲れが飛んでいく。
秀頼は今日一番の大きなため息をついた。
「疲れたな…」
まるで疲れがソファに染みこんでいくようだった。
目を閉じた途端、意識が遠のいていく。
尋常じゃないほどに疲れていたというのに、
幸せだった…。