新型感染症のリスクのある患者は
必ず呼吸器内科の対診が入る、
と秀頼に聞いたことがある。

つまり、今この学内で、
いや、日本中で一番感染リスクが高い。


本当は、大丈夫ですかって聞きたい

ちゃんと休めていますか、って

会いたいです、って

言いたい…。


でも、今は誰もが我慢している。
会いたい人に会えないこの時間を。


「私にできること、ないかな…」


ふぅとため息が出る。

だがこんなときでも、
天下のお嬢様である親友は
明るかった。


『大丈夫、すぐ会えるって!
 それにほら、
 会えない分向こうもゆっちゃんのこと
 気になってもんもんとしてるかもよ~?』

「そんなわけ、ないよ」

『…どうして?』

「そりゃあ、
 仕事に真面目な人だし、
 今はそのことしか考えてないかも」

『そうかなぁ…
 まぁ、だったらこっちは
 先生との思い出で乗り切るしかないね!』

「思い出ねぇ」

『あ!今いやらしいこと考えたな~』

「考えてないって!」


スマホの画面越しに、
南の可愛らしい笑い声が聞こえてくる。 

やっぱり持つべきものは友達か、
肩の力がどっと抜けた気がした。