瀬乃はああ見えて"女性"として
羞恥心なるものも強い方に感じた。

人は見かけで判断しやすいが、
どんな態度でも、
どんなに年を重ねていても、
羞恥心に配慮しなくていいわけではないのだ。

瀬乃は男性医師に胸を見せることに、
診察といえど、抵抗があるのではと
優子は感じていた。


だが、おじさん教授よりは
爽やかな先生の方がマシなのでは…?


と、優子もなかなかに不純な考えを
起こしてしまった。

結果として、今回はうまくいったのだが、
あまり褒められた思考ではない。


「なるほど。
 なんというか、反応に困るな」

「ですよね。すみません」

「いや、この短期間で瀬乃さんの
 特性を掴んでいるのは凄いことだ。
 たしかに高齢者に対してそういった
 配慮に欠けるスタッフも少なくない」


俺も気をつけるよ。
ありがとう。


そう小さく口角を上げる、微笑みの貴公子。

その微笑みは、この前の"あれ"とは、
少し違っていた。

医師として微笑む秀頼にも、
優子はあっという間に惹かれていた。