突然の優しい言葉のオンパレードに、
優子は完全にフリーズしていた。

どうしたんだろう。

いつも以上に、

先生の瞳に吸い込まれそうに見つめてしまう。


「先生、いつもより優しいです」

「…あ、いや…」


優子の言葉に、秀頼は「ゴホン」と
わざとらしく咳払いをした。

それからすっかり冷めたであろう
コーヒーをすすって、


「そんなことはないだろ」


と、ぎこちなく呟いた。

優子は秀頼の顔を覗き込むようにして言った。


「疲れてるんですか?」

「かもな」


秀頼は伸びをしてテレビ横の時計を見た。
時刻はとっくに0時を過ぎていた。


「明日試験なんだし、
 今日はもう帰った方が良いな」

「え、せっかく一緒に夜更かしできるのに」

「ダメだ。
 試験は落ちる心配もなさそうだし、
 あとは風呂に入って寝なさい」


そう言いながら優子の資料を集め始めた。

優子も筆記用具をしまいながら
最後の抗いを試みる。


「お風呂、こっちで入っていっちゃダメ?」

「ダメ」