そして付き合うことになった私達。

私はこのとき、両思いだって信じて疑わなかった。

大和の中には最初から、私なんて入る隙なんてなかったのに。

付き合うようになってから、大和はすごく優しかった。

毎日帰り道、私を家まで送ってくれた。

休みの日はたまに一緒に過ごした。

映画を見たり、買い物をしたり。

初めて付き合うってことが楽しくて仕方なかった。


「花恋。」

心地いい少し低めの声で呼ばれる、家族以外のその自分の名前が特別な響きに聞こえた。

大和は私にたくさんの気持ちを教えてくれたの。

だけど、薄々感じてはいた。

大和の心の中には私じゃない、誰かがいるってこと。

でもそれを私から言い出せなかったのは、わかってても大和のそばにいたかったから。

私はずるかった。

だからきっと、終わりが来たんだ。

「花恋、話があるんだ。」

付き合ってから三ヶ月、いつもの帰りみち、その話を切り出した大和。