「かーれん先輩っ!」

まるで子犬のように駆け寄ってくる男の子。

そんな彼の姿に、思わず口元が緩んじゃう。

「今日はバイトないんですよね?どこか寄ります?」

違う大学とはいえ、隣だからこうしてほぼ私のバイトやサークルがあるとき以外は門の前で待っててくれる彼本当にご主人様に従順な忠犬みたい。

私、永峰花恋の付き合って三ヶ月になる彼氏、園田梓君。

一つ年下の彼は同じ高校の後輩でもある。

初めて告白されたのは私が卒業した一年前。

最初はかなりビックリした。

だって私は、その数ヶ月前まで梓君と仲の良い速水大和と付き合っていたから。

大和は私にとって初めて付き合った人だった。

第一印象は、大人っぽい人だなあ。

私より一つ年下のはずなのに、落ち着いていて感情をあらわにすることもなくて。

同じ委員会だった梓君を通して、彼の存在を知った。

それを友達の妃咲に言うとありえない!と驚かれたっけ。