意外と頑固なとこ。

家族思いなところ。

料理も上手なところ。

笑った顔も、泣いた顔も、怒った顔も。

全部全部、覚えてる。

全部全部、大好きなんだ。

俺の三年間にはいつも花恋先輩がいた。

「卒業生、退場!」

いつのまにか式典は進んでいて。

俺達三年生は体育館を出る。

二年の席で号泣している愛ちゃん。

それをたしなめているほのちゃん。

なぜか潤んでいる葉の瞳も。

もう見ることはできない。


「写真撮ろうよ!」

「こっち!こっち!」

まだ咲いていない桜の木の下で写真をとっているみんな。

「あのっ、好きです!」

さすが卒業式、告白してるやつも…

って、されてるの、真と大和だし!

最後の最後までモテモテですこと!

「梓先輩!」

駆け寄ってきたのは紺野。

そういえば第二ボタンあげる約束してたんだっけ。

俺は三年間着た、少し大きめのままのブレザーからボタンを外して、紺野の手のひらにおいた。