女子校育ちのこいつは何でもかんでも男の言うことを真に受けすぎ。

葉の言うことなんて信じても仕方ねえのに。

「ねえ、あたし、広夢君をお祭りに誘おうと思ってたんだけど、やっぱり女のあたしから誘うのって引かれるかな!?ね、梓、そうなのかな!?」

急にオドオドした顔で身を乗り出してくる柚。

「別に、そんなこと気にしねえよ。葉もあんまりからかうなよ。」

「はーい、ごめんね、姉ちゃん。」

柚には二年の冬くらいから付き合っている彼氏がいる。

女子校育ちの柚にとってはじめての彼氏だ。

俺もまだ会ったことはないけど、柚によると優しくてカッコイイらしい。

「もう!からかうなんてひどいよ!そういう葉だって、彼女と行かないのー?」

「はっ!?」

今度は葉の顔が真っ赤になる。

そして葉にも付き合っている彼女が。

つまり、この兄弟で取り残されているのは俺一人ってこと。

「芽衣ちゃん、だっけ?かわいいよねー。」