「俺…」

「あ、わかってますよ。梓先輩、好きな人いますよね。だからあたし、付き合いたいとかそういうんじゃなくて、ただ自分の気持ちを伝えたかったんです。」

そうキッパリ言った紺野のこと、かっこいいなって思った。

「ありがとな!すげえ、嬉しかったよ。」

「いえ!先輩も頑張ってくださいね!あ、あと明日、卒業式のあと先輩の第二ボタンくれませんか?」

俺の第二ボタン、ほしいっていうやつがいるなんて、驚きだ。

「うん、わかった。」

「ありがとうございます!」

紺野は笑うと、また騒がしい部屋に戻っていった。

俺もそろそろちゃんとけじめを付けないといけない。

明日、花恋先輩に振られたら、もう終わらせよう。

気持ちは残っても、当分花恋先輩のことを考えてしまっても、それでもいいから。

この恋を、ちゃんと終わらせるんだ。

きっとこの恋は俺を成長させてくれた。

花恋先輩を好きになって、本当に良かった。