俺は、どうしよう。

先輩のたったひとりの王子様にはなれない。

だったら俺は先輩のたったひとりのヒーローになろう。

王子様が一番なら、ヒーローは二番。

先輩の幸せを誰よりも願う、先輩の笑顔を誰よりも大切にするヒーローに。

って、そんな簡単に割り切れるわけない。

「梓先輩!」

部屋から出てきたのは一つ下のマネージャー、紺野あずさ。

俺と同じ名前でそれで盛り上がって結構仲良くしていた後輩。

「あたし、ずっと前から梓先輩のことが好きでした!」

はっ!?

こ、告白された!?

しかも、紺野に!!

ていうか、告白なんてされたのいつぶり?

しかもこんなちゃんと。

確か前にされたときはドッキリとかで女子みんなが仕組んでたってやつ。

「卒業しちゃう前に言いたくて…」

告白、か。

相当な勇気がいることは俺もよく知っている。

そして、それを断られるのがどれほど辛いことかも。