朝比奈大受験以来、1回だけ登校日があったけど、その時あった大和、何にもそんな素振り見せてなかったし。

そもそも大和には絶賛愛し中の彼女、桜子ちゃんがいるじゃん!

「あれ?梓先輩?どうしたんですか?」

「ちょっと風にあたってくる…」

俺はガヤガヤ騒がしいカラオケの部屋を出た。

一人で冷たい風にあたっていると、頭の中に浮かぶのは大好きな人と大切な親友。

もしかして、花恋先輩の伝えたいことって、本当に今度こそ、きっぱりと振られるのかな。

俺、やっぱり先輩にとっての一番になれなかったのかな。

どうしたって大和にはかなわなかったのかな。

そういうこと、か。

きっと花恋先輩は今でも大和が…

好きなんだよな。

俺が花恋先輩のことを好きなように、花恋先輩も大和が好きなんだ。

大好きだった人を忘れるのは難しいってこと、痛いくらいにわかるよ。

けど、やっぱり振り向いてもらいたかった。