そうなのだ。

去年の暮れ、いよいよ受験を目の前にして少し遅いような気もしたけど母さんが言ったこと。

「今年はインフルエンザの予防接種、受けに行きなさいよ!柚と梓は絶対!葉も受けなさい。」

それを聞いた俺は断固拒否。

情けないけど、俺は昔から注射というものが大の苦手なのだ。

「大丈夫!俺は風邪になんて負ける男じゃないんで!」

そう自信満々に自負していたのが甘かった。

朝比奈大教育学部を目指して毎晩明け方近くまで勉強する日々。

そういえばご飯も抜くことが多くなって、暇さえあれば単語の一つでも頭に叩きこもうと必死だった。

それが良くなかったのか、センター試験のあと、急に体調を崩しこのざま。

「はい、ここに置いとくね。あとこれ、さっき花恋さんが来て、梓にって。」

柚の口から出た名前に俺はグインとベッドから飛び起きた。

大学合格するまでは会わない、と再び決めた俺。