しつこく思われても、それでもいい。

俺は先輩を追いかけていたい。

「あーずさ!唐揚げ、食べないの?」

「…んだよ、太るぞ。」

横から箸が伸びてきて、俺のさらに残っていた最後の一つの唐揚げをかっさらっていく。

「珍しいね、梓が元気ないなんて、明日は雪かな?」

「明日もめちゃくちゃ暑いらしいよ。…こんな中体育館で部活なんて、死んじゃいそう…」

俺のシリアスな気分も考えないでどうでもいい会話を繰り広げるこいつらは俺の双子の姉である柚と一つ下の弟、葉。

柚はエスカレーター式でこのまま大学にいけるから、能天気なもんだ。

葉はまだ部活に夢中って感じで、全然悩みとかなさそう。

はあ、いいよな。

「何よ、さっきからため息ばっか。せっかく明日から夏休みだよ!?もっと楽しくいこうよ!」

「姉ちゃんは浮かれすぎ。彼氏出来たからってそんなに調子こいてたら嫌われるよ?」

「えっ!うそ…」