いつのまにか俺の後ろに立っていた先輩。

「はい、すごく綺麗です。」

優しい目をして笑うその人は花恋先輩によく似ている。

「お母さんね、私が七歳のとき、病気で亡くなったんだ。まだ三十歳だった。」

先輩の目が少し悲しみの色に変わる。

「先輩に、似てますね。」

素直に言うと先輩はすごく嬉しそうに笑った。

「ほんと?ありがとう。」

お母さんのこと、大好きだったんだな。


テーブルに先輩と向き合って座った。

「梓君、今日来てくれたってことは…」

「はい、やりたいこと、見つかりました!」

俺が見つけた、将来の夢。

「俺、小学校の先生になりたいです。」

花恋先輩の話を聞いて、思ったんだ。

悲しいこと、辛いことを抱えて生きている子どもたちがたくさんいる。

その子どもたちを少しでも笑顔にさせてあげたい。

そんな先生になりたいって。

「そっか、すごく素敵だね。きっと梓君ならいい先生になれるよ。」