11月、終わり。

俺はドキドキしながらチャイムを押していた。

ガチャンと扉が開き、中から出てきたのは…

「どなたですか?」

そこにいたのは知らない男の人。

ま、まさか…!!!

このお方は…!!

「あ、梓君!ごめんね、今お茶の用意してて…」

そしてその人の後ろから顔をのぞかせたのは、相変わらずかわいい、花恋先輩。

「は、はじめまして!その、ぼ、僕は…」

どうしよう!

こんな時に言うセリフ、勉強してくればよかった!

「ハハ、とりあえず、上がって。君のことは花恋からよく聞いてるよ。いつも花恋と仲よくしてくれて、ありがとう。」

そう爽やかに笑う大人の魅力に圧倒される俺。

「じゃあ花恋、行ってくるね。戸締まり、気をつけて。」

「うん、いってらっしゃい。お父さん!」

や、やっぱり!

花恋先輩のお父さんだったんですね!?

とても一人の娘がいる父親には見えないくらい、若々しくて、でも大人の魅力も色気もあって。