「びっくりしちゃった、今年から裏ミスコン、なんてもものがあるんだね。」

クスクスと可笑しそうに笑う先輩。

やっぱり、引かれた?

だって女装コンテストだよ?

普通引くわな、そりゃ…

「梓君、すごくかわいかった!優勝まちがいなしだね!」

先輩、それ褒められても全然嬉しくないんですけど…

「あれ、梓君…」

え!?

えっ!?

なに!?

近づいてくる先輩。

先輩の方からこんなにも密着してくるのは初めてだ。

「せ、先輩!?」

「…グロス、塗ってる?」

は!?

グロス?

そういえば舞台に出る前に化粧だけは断固拒否した俺に無理矢理栗原たちはなんか色々顔に塗りたくられたっけ。

慌ててゴシゴシ唇をこする。

そしてそのまま、先輩の腕を掴んだ。

かわいい、とかじゃなくて。

俺は一人の男で。

先輩の事が好きな、ただの変態野郎だよ?

だから、こういうこともできちゃうんだよ。