こう見えて今年の六月までハンドボール部に入ってたんだから。

しかも、レギュラー。

けど今そんなことは関係ないよな。

もう一度鏡を見て大きくため息をついた。

コンコン

楽屋と設定されているこの舞台裏にある更衣室のドアが鳴る。

誰だ?

「はーい。」

ガチャ、とドアが開き、入ってきたのは…

「か、花恋先輩!?」

「こんにちは。」

さ、最悪だ!

こんなみっともない姿、間近で見られるなんて!

今の俺ははだけたシャツ、下半身はフリフリミニスカート、だらしなくて、変な格好極まりない。

「ごめんね、着替え中だった?私、出ていく…」

けど、やっぱり俺は馬鹿で、単純。

こうやって先輩に会えたことが嬉しくて。

「待ってください!」

勝手に口から出ていた言葉。

急いでスカート下からジャージを履き、そのフリフリとしたうっとおしかったものを脱ぐ。

シャツのボタンもきちんと止める。