だけど気がついたんだ。

花恋先輩が見てるのは、俺じゃなかった。

俺の隣にいる、友達だってこと。

「梓君、わたしね…速水君が好きなんだ…」

可愛らしく頬を赤らめながらそう言ってきたのは、放課後の保健室。

委員会前に早く来て花恋先輩と話すのが何よりも楽しみだった俺にとって、ものすごくショックな話。

たしかに大和は男の俺から見ても、めちゃくちゃ格好良い。

でも二人の接点って、何?

「梓君といつも一緒にいるよね、この前日直の仕事でノート運んでて、たまたま廊下であったから手伝ってくれたんだ。」

すごく可愛い、その笑顔。

でもそれは俺のためじゃなくて、大和に向けられたもので。

皮肉にも大和と花恋先輩を引きあわせていたのは俺という接点。

「…でも協力して、とかじゃないの。私、初めて好きになった人だから、自分の力で頑張りたいんだ。」

ねえ、先輩。

俺も、頑張ってるよ。

でも先輩の初恋は大和なんだ。