「エントリーナンバー5、三年B組、園田梓!」

カッ!

まぶしすぎるライトに目を細めながら、俺は舞台に踏み出した。

「きゃーー!かわいいっ!」

「いいぞー!美少女!」

そんな歓声を受けながら、げんなりした気持ちでステージの中心に向かう。

「はい、では!優勝候補と硬い園田君!どうてすか?裏ミスコン出場のお気持ちは?」

裏、ミスコン。

そう、俺はものすごくバカだった。

ひらひらしたミニスカート、スースーとする足元。

カクカク生まれたての鹿みたいな歩き方になるバカみたいに高いピンヒール。

そしてうっとおしいウィッグ。

俺がエントリーしたのは、裏ミスコン、つまりは春日台高校のミスターアンドミス逆転コンテストだった。

それが発覚したのはミスコンエントリー者発表の日。

生徒会室前の掲示板に貼りだされた要項を見て、俺の目は多分一メートルぐらいに飛び出たと思う。