「ごめんなさい、わたし…」

とりあえずゆっくり話ができるところ、そう考えて浮かんだのは家しかなかった。

幸い、今日は柚は面接練習らしく、学校に行ってていないし、葉も部活。

パン屋を営む両親も休日出勤でいない。

「いえ、何か飲みますか?」

ていうかとっさにここに連れて来ちゃったけど、かなり大胆な行動しちゃってない?

だって、わが家に花恋先輩がいる。

こんな、こんな夢みたいなこと、ないよな!

「ありがとう…」

やっぱり今日の先輩はいつもと違う。

「…何も聞かないの?」

お茶を飲みながら先輩はつぶやくように言った。

知りたい、何があったのか。

この前大和が言っていたことか?

けど…

「先輩が話したくなったらでいいですよ。話したくないこともあるでしょうし…」

無理矢理には聞かない。

だってそれじゃあ彼氏としての意味、ないからな。

「…聞いて、ほしい。」

先輩は俺を見た。