そして一ヶ月後、9月10日。

ちょうど日曜日だったその日、俺は先輩の家の前にいた。

今日はたしかカフェも大学も休みのはず。

突然来たら、怒られるかな?

ストーカーっぽい?

「よし!」

今日はこの前のことを誤って、それこらプレゼントを渡すんだ!

チャイムを押す手が震えてる。

ふう、一つ深呼吸して。

よっしゃ!

行くぜっ!

まんしょんのエントランスから飛び出してきた小さな人。

「花恋先輩?」

「梓君…?」

先輩は玄関先なのに裸足で出てきていて。

髪の毛もボサボサ、いつもの花恋先輩じゃないみたいだ。

「出て行け!この邪魔者!」

エントランスの中から女の人の怒声が聞こえてくる。

「…っ!」

苦しそうな顔をして、耳を覆う花恋先輩。

この状況、何が起こっているのかさっぱりわからない。

だけど…

「先輩、行きましょう。」

「えっ?」

俺は先輩に自分の履いてきたスニーカーを履かせると、手を引っ張って走りだした。