「あーーーー!」

「ちょっと梓、うるさいよ!」

柚が何事かと部屋に飛び込んでくる。

いいよな、こいつは脳天気で。

俺はなんて馬鹿なことをしてしまったんだ。

いくら先輩にこっちを向いてほしいからって勝手にキスをしてしまうなんて!

しかも俺にとってはファーストキス!!

いや、もちろん俺は花恋先輩とファーストキスしたいなって思ってたよ?

でも想像してたシチュエーションはあんなんじゃないんだよ!

もっと、こう、お互いがキスしてえ!ってなってからで。

あのあと、一言も話さずに花恋先輩を家まで送って、それ以来会ってない。

もうすぐ後期補習も始まるし、課題提出日も迫っているのに何一つ手につかない。

受験生のくせに何やってんだか。

「ていうか梓、少しは勉強しなよ。第一志望、かなり厳しいんでしょ?」

そう、俺が今のところ第一志望にしているのは花恋先輩の通うすみれが丘女学院から一番近い国立大学。