「好きです、花恋先輩。」

そして俺は、そのまま初めて、キスをした。

初めて触れた、唇は思っていた以上に柔らかくて。

「やっ…!」

ドンッと大きな音がして、我に返る。

空には花火が上がっていた。

目の前の先輩の顔を花火が照らしだす。

俺、今、花恋先輩に…

いや、無意識なんかじゃない。

わざと、だ。

「俺のこと、都合のいい男にしてください。大和を忘れるために利用してくれてもいいです。」

それでも、先輩のそばにいたいんだ。

「先輩、俺を見てください。」

まっすぐ見つめた先輩の頬は赤く染まっていた。

せっかくの花火もまるで目に入らない。

俺が見ているのは先輩、あなただけです。

都合のいい男にしてよ、先輩。

とことん俺を利用していいからさ。

俺はずっと待ってるから。

花恋先輩がいつか、俺だけを見てくれる日が来ることを。