にこにことラムネの瓶を持って笑う花恋先輩。

なんだ…いなくなったのかと思った…

「はいっ、どうぞ!」

でもすごく嬉しそうな先輩に何も言えない。

まあ、いっか。

「ありがとうございます!」

ラムネなんて飲むの、いつぶりだろう。

今でもビー玉、入ってんのな。

小さい頃このビー玉を取り出そうとして瓶を無理やり割って、母さんにめちゃくちゃ怒られたっけ。

「次は何します?」

花恋先輩の視線は、どこか違うところへ。

その視線の先をたどると、そこには…

「大和…」

先輩の唇がかすかに動いた。

楽しそうに笑い合っている大和とさくちゃん。

さっきまで笑顔だった先輩の顔が、とたんに元気がなくなっているのがよくわかる。

「先輩、俺お腹空きました!なにか食べましょうよ。」

そう明るく言ってみても、先輩の目線は二人から外れない。

…やっぱりまだ、先輩は大和のことを忘れられないんだ。