「あんたなんか、いらない子なのよ!あんたが邪魔だから、雅紀さんだって帰って来ない!ほんと、疫病神!」

お父さんの再婚相手の美佳さんは私にそんな言葉を浴びせるようになった。

それは数年前からで。

大学病院の心臓外科医として働くお父さんはなかなか帰って来ない。

お父さんがたまに帰ってきたときにはいつもニコニコ笑顔の美佳さんも、お父さんがまた仕事に行ってしまうと私を罵った。

殴れられる、蹴られるは当たり前になって。

私はそんな家にいたくなくて、夜、美佳さんが寝る直前まで外で時間を潰した。

そんな私を救ってくれたのは梓君。

いままでお父さんの幸せを思って、我慢してきたこと。

それは間違っていた。

梓君に言われて、初めて気づいた。

そして久しぶりに帰ってきたお父さんに、美佳さんが仕事に行っている間、全てを話した。

お父さんは黙って私の話を聞いて、そして私を抱きしめた。