丁度音楽室に着いて、壁にぶら下がっている時計を見ると、本当2あと5分だ。


でも……大丈夫。ここからの距離なら急げば間に合う!




「ごめん葉月ちゃん、私の荷物、机に置いといて!」


「ちょ、美織ちゃん!?」





葉月ちゃんに荷物を託して、走り出す。


人気のないところに来て、周りを見渡す。



……よし、誰もいない。



近くの窓から下を覗くと、地面まで約5m。





───────いける。





距離を見て、そう確信する。


この高さなら、問題ない。



よっと窓枠に足をかけて、飛び降りる。



ズザッと音を立てて着地成功。





「危なー。私はスパイとして育てられたからなんとか着地できたけど、特殊訓練してなかったらポッキリ足の骨やってたかも」





沢山訓練した私ですら少し足首が痛いのに、普通の人がやったらヤバかった。


というか、ここはどこだろう……?



首の回転で見える範囲を見ると、どうやら裏庭みたい。



って、もう時間ない……!



急いで立ち上がって、寮の方向へ走った。





*     *     *     *



寮に帰って、無事にリコーダーゲット。


よかった〜。まだ授業まで1分くらいあるし、早く戻らなきゃ……!


寮を出て、できるだけ狭い道を通る。


開けてる場所を通ると、授業のない先生に見つかるかもしれないしね。



あ、この角を曲がれば、校舎に戻れる……!



そして、角の直前。



キーンコーンカーンコーン。



うそうそうそっ……!チャイムなっちゃった。