「ここに、〝ターゲット〟がいるんだ……」




私は今日、国内トップクラスに位置するこの〝天宮学園〟に入学する。


ドン、なんて音が聞こえそうなくらい、この天宮学園は大きい。


周りの人がどんどん校門を通り抜けていくのを見て、私の一歩を踏み出す。


その瞬間、頭の中をある言葉が横切った。



『お前は、〝スパイ〟だ。忘れるな、目的を』




シャキ、と背筋が伸びる。


入学式にはお父様は参加されないけど、お父様の部下が見てるかもしれない。




これは、私の〝初任務〟。



失敗はできない。初任務は、これから仕事を任せてもらえるかが関わる、重要なものだ。



もし失敗したら………。



幼い頃の記憶が蘇って、身体が震える。


大丈夫……失敗しなければいいだけだよ、私。





私は今度こそ、一歩を踏み出した。