とある天気の良い日曜日のこと。
「えぇぇぇえぇっっ!」
鳥のさえずりと共に清々しく目覚めた今朝が懐かしく思えるほど、けたたましい叫び声が家の中にこだました。
「ママ、どういうこと?!」
近所迷惑甚だしい大声は目の前のニコニコ夫婦二組に向けられるが、返ってくるのは「だから〜、さっきから言ってるじゃない?」と温度差の激しい間の抜けた声。
「私たちはダブル新婚旅行にいってくるから、留守番よろしくって!」
「ダブル新婚旅行って……ママたち結婚して15年以上経ってるでしょ?!新婚でも何でもないじゃない!」
「いいじゃない。いつまでたっても気持ちは新婚さんなのぉ!」
「なのぉ!」じゃないよ!若者ぶったって可愛くないからね?!
生まれてこの方目立った反抗期もなく、我ながら割と良い子なんじゃないかと思っているけれど、今回ばかりは心の中で悪態を吐くのも仕方がないと思う。
旅行(母曰く、新婚旅行らしい)に行くのはともかく、普通そのことを出発当日に言う?なんとも非常識だと思うんだけど、もしかしてわたしがおかしいんですか?
額に手をあてて大袈裟にため息をつくと、「もう、怒んないでよ、姫乃!」とぷくっと頬を膨らませるママ。
またも若者ぶった仕草にイラッとしながらも、……まあ、こんな親にいままで育ててもらったわけで、こういう無鉄砲さにはある程度の免疫は出来ている。
…………でもね?
納得できないのは、ただひとつ。