「…眩しい」

窓際から太陽の光が差し込む。
昨夜、カーテンを閉めずに寝てしまったせいだ。

寝ぼけ眼でスマホの画面を見ると、10:30。

今日も17時からの遅番出勤だ。

早く起きちゃったな、そう思いながらベッドから起きあがろうとした時、LINEの通知音が鳴った。

画面を見ると【リノ】と表示されている。

【おはよーん♪ユキちゃん起きてる?】

リノちゃんは同じ店で働く20歳のキャストだ。
入店したばかりの私に明るく話しかけてくれて、LINEを交換していた。

【おはよう。起きてるよ】

【あたし、今日遅番なんだけど早起きしちゃってさぁ(*_*)ユキちゃん、一緒にランチでもしない?】

【私も遅番だよ。ランチ、行こう行こう!】

リノちゃんのレスポンスは早くて、11時に歌舞伎町の近くにあるイタリアンレストランで待ち合わせする約束をした。

急いで歯磨きと洗顔を済ませて、クローゼットからニットとスキニーを取り出し着替え、日焼け止めとグロスを塗っただけの簡単すぎる支度が終わる。

スマホの画面を確認すると、10:45。
走れば間に合う距離だ。

コートを羽織り、財布をショルダーバッグに入れて部屋を出た。

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イタリアンレストランに着いたのは、待ち合わせ時間の少し前だった。

早く着きすぎちゃったかな、そう思いながら店内へ入ると美味しそうな匂いが立ち込めている。

ウェイトレスに案内され窓際のソファー席に座る。

【ユキちゃん、どこー?ヽ( ̄д ̄;)ノ】

11時を少し過ぎた頃。LINEの返信を打っているとレストランのドアが開いた。

リノちゃん、と小さく手を振ると、私に気付いたリノちゃんはサングラスを外しながらソファー席に座った。

「遅れてごめん!って、まだ何も頼んでなかったのー?」

「リノちゃんが来てから一緒に頼もうと思ったんだ」

「ここのナポリタンとピザ、まじ美味しいんだよ!一緒にシェアしようよ」

ウェイトレスを呼んだリノちゃんは、サラダ、ナポリタン、ピザ、アイスティーを注文した。

「てかさ、ユキちゃんスッピン!?可愛すぎるんだけど!」

アイスティーにシロップを入れていると、正面に座るリノちゃんがジッと私を見ながら言った。

「全然だよ。私もリノちゃんみたいにちゃんと化粧してくれば良かったかな」

ジッと見られるのが恥ずかしくて、ストローへと目をうつす。

「そういうウブっぽいところもユキちゃんの可愛いところなんだよね〜。女のあたしでもキュンキュンするもん」

リノちゃんは切り分けたピザと取り皿に分けたサラダとナポリタンを私の前に置いてくれた。

「ありがとう。美味しそう」

一緒に、いただきます、のポーズをして食事と他愛のない話を一通り楽しんだ後、リノちゃんは急に真面目な顔になった。

「てかさ、ユキちゃんって稼いだ金、何に使ってるの?ホスト?」

「ホストには行かないよ。ただただ貯金って感じ。リノちゃんはホストクラブに行くの?」

「んー、たまに行くよ。そうだ、今度一緒に行かない?結構ストレス発散になるよ」

ニコッと笑ったリノちゃん。

「私はいいや。お酒飲めないし、ストレスもないもん」

私の返答に少し口を尖らせたリノちゃんは、そういえば、と小声になった。